株式会社アトックス

日本核医学会の機関誌「核医学」にアトックス社員の論文が掲載

日本核医学会は核医学研究の推進と発展を図ることを目的とした学会であり、同学会が発行する機関誌「核医学」には放射性同位元素の医学応用に係わる研究が掲載されています。
この度、同機関誌「核医学」にアトックス社員(富田 翔)の論文(2021年58巻1号)が掲載されました。


【アトックスの取り組み】

高齢男性における前立腺がんの比率は非常に高く、日本でも男性のがんの中でも患者数は1位となっています。従来の診断方法は生検という方法で、直接患部に針を刺して生体を採取しなければならないなど患者の負担も大きく時間もかかっていました。
アトックスはこうした患者の負担を減らすべく2018年10月31日に北海道大学と共同研究契約を締結し、PET診断※1に使用する診断薬「68Ga-PSMA」の開発を進めています。

※1 PET診断
患者の体内に注入した陽電子(ポジトロン)を放出する診断薬が、体内を移動して臓器など体の各部位に集まり、体外からPETカメラで撮影する検査方法

68Ga-PSMA」は前立腺がんを高い精度で診断できる薬剤として大きな期待を寄せられており、PET診断に「68Ga-PSMA」の使用が可能となれば、前立腺がんの診断において患部に針を刺して生体採取する必要がなくなります。

北海道大学との共同研究においてアトックスは、前立腺がん診断薬「68Ga-PSMA」に用いるジェネレータ産生68Ga溶液の品質検証を担っています。
68Ge/68Gaジェネレータ※2から溶出される68Ga溶液の品質検証は北海道大学アイソトープ総合センター 久下教授の指導の下で行われ、検証結果の論文は日本核医学会発行の機関誌「核医学」に掲載されました。

※2 68Ge/68Gaジェネレータ
PET検査で使用される診断薬を製造するために必要となる 放射性ガリウム(68Ga)溶液 を、手軽に溶出(特定のものを取り出し)できる小型装置

放射性ガリウム(68Ga)は加速器など大型設備を用いなければ生成できなかったため、核医学を研究する多くの機関から、欧米で主流となっているコンパクトなジェネレータに対する要望が寄せられていました。
アトックスはこうしたニーズに迅速に応えるため、2018年にベルギーのIRE ELiT社との間で、同社の68Ge/68Gaジェネレータ「Galli Eo®」を日本で独占販売する契約を締結しました。




【論文】技術報告

68Ge/68Ga ジェネレータの長期間の品質検査

68Ge/68Gaジェネレータ「Galli Eo®」は放射平衡の親核種68Geから、娘核種の68Gaをミルキング(溶出)することができる小型装置です。ポジトロン放出核種の68Gaは、対象分子(がん等)に集積する薬剤と組み合わせて、PET診断(陽電子放出断層撮影)に用いられます。

ジェネレータ

近年、神経内分泌腫瘍診断薬である68Ga-DOTA-TOCや、前立腺がん診断薬である68Ga-PSMA-11など、従来診断法よりも高い診断能を有する68Gaを利用した薬剤が報告されています。
しかしながら、68Gaを利用した薬剤は我が国において承認されておらず、臨床研究もほとんど行われていません。そのため、68Ge/68Gaジェネレータの知見がほとんどありませんでした。
そこで、我々は1850 MBqの68Ge/68Gaジェネレータ「Galli Eo®」から溶出される68Ga溶液の品質検証を以下の11項目について行いました。
  (1)溶出液量、(2)溶出収率、(3)性状及び不溶性異物、(4)pH、(5)半減期、
  (6)ガンマ線スペクトロメトリ、(7)放射性核種純度、(8)放射化学的純度、(9)金属不純物、
  (10)エンドトキシン試験、(11)無菌試験

本試験で評価した68Ge/68Gaジェネレータ「Galli Eo®」の溶出液の品質は、欧州薬局方で定められた68Ga溶液の規格値を満たしており、有効期限12ヵ月を超える15カ月の評価期間において、その品質は維持されていました。
また、68Ge/68Gaジェネレータ「Galli Eo®」から溶出した68Gaを用いた合成検討においても、高い純度の68Ga-PSMA-11(前立腺がん診断薬)を合成することができ、68Ge/68Gaジェネレータ「Galli Eo®」の有用性を確認することができました。

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