株式会社アトックス

ライフサイエンス事業224Ra/212Pbジェネレータの研究開発

鉛212(212Pb)ジェネレーターの開発研究に着手

平成29年11月30日に国立研究開発法人理化学研究所と共同研究契約を締結し、新たながん治療法として注目されるアルファ線放出核種を用いた 核医学治療に使用する鉛212(212Pb)ジェネレーターの開発研究に着手しました。
アルファ線放出核種を用いた核医学治療は、体の内部からアルファ線でがんを狙い撃ちすることができ、転移性のがんにも有効な「切らずに直すがん治療」として期待されております。また、212Pbジェネレーターは、原子炉や加速器などの大型設備を用いることなく、ラジウム224(224Ra)から212Pbを製造することができる小型装置です。
本共同研究は、平成29年度国立研究開発法人 科学技術振興機構の産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)に採択されたプロジェクトの一つとして5年間実施しました。その後も理化学研究所と共に開発を進めています。
理化学研究所は、80年を超えるRIに関する研究実績があり、整備された研究環境と運営体制の下で、新元素「ニホニウム」の発見をはじめ多大なる研究成果を生み出しています。 一方、当社は1950年代から原子力施設内に事業所を開設し原子力施設の総合的なメンテナンス技術を築き上げ、最近ではRIを利用した医療分野の事業展開も手がけております。本共同研究は、お互いの強みを生かしたプロジェクトといえます。

【補足】「アルファ線放出核種を用いた核医学治療」の概要とメリット

核医学治療

従来の外部からの放射線治療と異なり、がん細胞に直接作用するアルファ線放出核種を静脈注射により体内に入れるがん治療法。既に、骨転移のある去勢抵抗性前立腺がんについて、アルファ線放出核種である塩化ラジウム223(223RaCl2)を用いた内用療法が実用化されている。
この治療法の主なメリットは次の2点。

  1. がんに特異的に集積する抗体やペプチドなどと鉛212(212Pb)を結合させ、静脈内投与することで体内の複数のがんを一度に狙い撃ちすることができる。
  2. アルファ線は定着部周辺の極めて狭い範囲の細胞にのみ作用するため健常部位への負荷が小さい。